僕はお金の扱いにはシビアで、ヘタなファイナンシャルプランナーよりセンスは上だ。その自負はある。そんな僕が今、懐疑的になってるのが貯蓄型保険だ。
貯蓄型保険の中で代表的なのが学資保険だが、この学資保険がどうにも魅力的なサービスに思えない。どう見ても、加入者が得するものではない。
でも、多くの人は何の疑問ももたずにホイホイ契約する。「お子さんの進学のために…」なんてセールストークに乗せられ、「よし、あの子のためだ!」なんてアッサリ印鑑押したりとか。子供思いがアダとなってるようだ。
今回は、学資保険は当然と考える方々に「ちょっと待った」をかけてみましょう。ではいきます。
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学資保険について簡単説明
学資保険がどういったものか、みなさん凡そわかってるとは思うけど、僕が解釈してる範囲で改めてざっくり説明しときたい。
学資保険のしくみ
学資保険は、子供の進学など教育費を用立てるための保険だ。たとえば、子供が18才を迎えた時に、大学進学費用としてそれまで払い込んだ保険料を満額で受け取るとか。
他にも、高校進学時に一時金を受け取れるものもある。もっと細かく、5年ごとに数十万受け取れるものもある。いろんなタイプがあるけど、払い込んだお金をまとめて返してもらうという点に変わりはない。
貯蓄性が高いどころか、機能面は貯蓄と同じだ。なんら変わらない。
保険としての機能
貯蓄と変わらないとはいえ、さすがにそこは保険。加入期間中にはそれなりの保証をつけることもができる。いわゆる特約ってやつ。代表的なのが3つばかりあるので紹介しておく。
医療保障特約
子供のための医療保証だ。子供が怪我とか病気で入院した際には幾らかの一時金が支払われる。手術を受けなきゃならない場合も、幾らかの手術給付金が入ってくる。
しかし、子供の通院や入院費用は普通にお金が返ってくるので、特約までつける必要はないと思う。
払込免除特約
万が一、契約者である親が死亡したり高度障害になった時には、その後の保険料の払込が免除される。これが払込免除特約だ。満期金は満期時などに満額支払われる。心配性の方はつけるのも自由だ。
育英年金特約
育英年金特約とは、万が一、契約者が死亡したり高度障害により働けなくなった場合の特約で、考え方としては払込免除特約と同じ。払込免除特約との違いは、満期金以外に幾らかのお金を所定の期間受け取れるという点か。
保険らしくいろんな特約が用意されてるが、こういった特約はあくまで掛け捨てなのを忘れてはならない。特約つければ当然保険料も上がるが、受け取る満期金は変わらないのだ。貯蓄性を下げたくないなら、特約は削るべきだろう。
返戻率とは
返戻率とは、払い込んだ金額と受け取る満期金の比較だ。
例えば、0歳から毎月1万円積み立てたとすれば、18歳時には計216万円払い込んだことになる。この216万円に対し満期金が240万円であれば、240÷216×100=111%。これが返戻率。返戻率が高ければ、満期金の額も多くなる。
だとすれば、返戻率は高いに越したことはない。貯蓄目的で学資保険始めるなら、できるだけ返戻率の高いものを選ぶことだ。学資保険の中には返戻率100%切り、元本割れが確実なものもある。返戻率だけはシッカリ確認しといたほうがいい。
金融商品としては学資保険はダメ
学資保険がどういうものか、ざっくり理解してもらえたと思う。ここからは、お金の運用という面から、僕が学資保険をオススメしない理由を書きます。
貯蓄はインフレの前では無力だ。モノやサービスの値段が上がれば、そのぶんお金の価値が下がるのだから。もちろん、学資保険もインフレには無力だ。もしインフレが起これば、契約者は資産価値が下がるのを指をくわえて見てるしかないだろうな。
「日本じゃインフレなんて起こらない。これからも心配いらない。」
現に日本は20年以上もデフレ状態だし、今後もそれが続くかもしれない。インフレとかピンとこないし、何をどう心配しろと?僕もインフレ知らない世代だ。よくわかる。
でも、経済の歴史はインフレとデフレの繰り返しだ。ワンサイドゲームなんて状況は歴史上ない。どの国も一緒だ。日本だって、いつかはインフレに反転するだろう。そのいつかがわからないだけ。
学資保険は長期スパンの投資だってことを忘れちゃならない。子供が生まれてから大学までとなると18年だ。いつかがいつかはわからないけど、18年もあればインフレに反転するのも十分あり得る。
学資保険を始めるなら、こうしたインフレ面のリスクを受け入れる覚悟は必要だろう。
将来の円の価値と今の円の価値は違う
インフレに付随する話になるが、たとえば、満期で受け取る金額が240万円だとしよう。ここで、ちょっと考えてもらいたいことがある。
18年後の240万円は、今の240万円と同じ価値だろうか?
通過の価値は刻々と変動するものだけど、円の価値はこれから大きく変動していくと見ている。残念ながら、円の価値は下がる方向だ。今の240万円は18年後だと、ひょっとすると100万円程度の価値しかないかもしれない。この点にも注意が必要か。
学資保険は利率が低い
こんな言い分ってどうでしょうか?
「子供が高校卒業する頃には総額で200万払い込むことになります。ところが、学資保険だと受け取れるのは220万円。なんと20万円も多く受け取れるんです。しかも、増えた分には税金もかからないんですよ。すごくお得だと思いませんか?」
「…お、おう。」としか返しようがない。18年も寝かせてたった20万しか増えないのか。平均利息は1%程度といったところか。
定期預金のゼロ金利に比べれば随分マシだろうが、それでも低い。18年もかけるなら、僕なら少なくとも倍にしなきゃ気が済まない。
途中解約すれば元本割れ
元本割れしたくなければ、10年は払い込まなきゃならない。学資保険の払戻金は、10年経てやっと払込み額とトントンになるからだ。元本割れが嫌なら10年は我慢しなきゃならない、ってことだ。
学資保険は貯蓄性の高いタイプなので、他の貯蓄型保険に比べれば元本割れ率はマシだが、それでも元本割れだといい気はしない。
拘束期間が長過ぎるのが学資保険最大の欠点だ。定期預金に劣る点だ。
学資保険が向いてる人
学資保険は、お金に関心の高い人には意味のない金融商品だが、逆に役立つ人もいる。
学資保険が役立つのは、お金を貯めるのが苦手な人だ。
世の中には、どうにも貯金できない人がいる。あるぶんだけ散財してしまう人は案外多い。彼らにとっては学資保険は必ず役に立つ。嫌でも毎月徴収されるので、強制的に資産は増やされるのだから。必要なのは、途中解約しない決意だけ。
貯蓄できない人には、むしろ強烈にオススメします。
まとめ
ここまで読んでくださった方、ありがとうございます。
僕が言いたいのは、貯蓄目的なら学資保険をすべきではないってことです。長期的な拘束を受けるために、インフレに晒された際に対処できないので。
貯蓄目的であれば、株式投資なんかをお勧めしたいところですが、ハードルの高い方は投資信託などの定期積み立てなどが良いでしょう。
とりあえず、お金の管理に自信のある方には学資保険は不要だと思う次第です。