
こんにちは、ブロガー伴です。
前回のウェルズ・ファーゴと同様、今回も金融セクター銘柄について書いてみたい。
今回取り上げるのは、アメリカンエクスプレス(NYSE:AXP)。私のポートフォリオ中、第5位を占める銘柄だ。
そんじゃ、いきます。
Contents
アメリカンエクスプレス(AXP)を語る前に、クレジットカード業界の簡単な解説
みなさんご存知のとおり、クレジットカードのブランドは数種類ある。有名どころを挙げれば、VISA、Master Card、American Express、JCB、Diners Club といったところか。JCBは日本国籍だが、他は全てアメリカ資本だ。社会人のみんなは常識的に知ってるよね。
これら5社は国際ブランドと呼ばれている。国際ブランドって何かというと、24時間世界中で決済可能なシステムを有するブランドのことだ。
クレジットカード業界においては、新規参入企業がこういった国際ブランドまで成り上がるのは、今じゃ並大抵のことではない。これら5大ブランドこそが、現代のクレカ業界において寡占勢力となっているんだ。参入障壁(mote)が極めて高い分、他の業界のように新規参入企業に覆されるなんてことは、まずないだろう。まさにクレカ業界に君臨し続ける5大メジャーというわけだ。
ところで、我が国のJCB。国際ブランドの一角をしれっと占めているよね。日本のみなさんはあまり気にしてないようだが、これって実は凄いことなんだぞ。
どう凄いかって?
現代はクレジット決済化がどんどん進んでいる。クレカ決済は、一国の金の流れを支える上では極めて重要なインフラとなっている。このインフラを支える国際ブランドを自国にもつということは、経済的にとても心強く頼もしいことなんだ。
例えば、アメリカから何らかの制裁(嫌がらせ)を受け、VISAをはじめとするクレカ決済が差し止められたとしよう。その時点で、その国の金の流れは大部分がせき止められてしまう。経済的にはシャレにならない事態だ。
そう、ウクライナ問題でアメリカを怒らせ制裁くらったロシアのようにね。あの時のロシアはヤバかった。なんせ、国内銀行を通したカード決済を止められたんだからな。経済的にかなり困難な状況に陥ったようだ。あのプーチン大統領も、日本にJCBブランドがあるのを大層羨ましがり、ベタ褒めしていたほどだからな。
日本人は、自国にJCBという国際ブランド企業があることを、もっと誇りに思っていい。
おっと、話を元に戻そうか。今回紹介するのはJCBじゃなくてアメリカンエクスプレス。そう、クレジットカードの中でもとりわけハイクラスな印象を受けるあのアメックスだ。例の、ローマ時代の百人隊長がアイコンの、あのアメックスだ。
アメリカンエクスプレス(AXP)への投資判断
このAXPは、WFCと同様、ウォーレン・バフェット御大も大のお気に入りの銘柄だ。バークシャーのポートフォリオの中では、約7%の割合を占めている。
最近の業績の推移を見てみようか。

売上高・営業利益・純利益、三拍子揃って右肩上がりになっている。

営業キャッシュフローも、やや凸凹だが、おおむね右肩上がりになっている。2015年までの業績には、ケチをつける点は特に見当たらない。

EPSもなかなか理想的な右肩上がりじゃないか。一株あたりの配当も、毎年連続増配とはいかないまでも数年おきには増やしている。良いのではなかろうか。
ところがこのAXP、現時点では投資家からの人気はイマイチ芳しくないのであります。その不人気ぶりは、競合他社とPERを比較してみれば一目瞭然。
VISA(V) PER 35.00
Master Card(MA) PER 30.17
American Express(AXP) PER 11.97
AXPに限り、投資家から如何に警戒されているかがよくわかるだろう。
一体、なぜに??
コストコ(COST)との独占提携の廃止
2015年、あのコストコがアメックスとの提携を解消すると発表。アメックスは、コストコとの独占提携の継続交渉に失敗した。アメリカでは、アメックスとコストコの提携はなんと16年も続いていたようで、その提携解消のニュースは衝撃的だったようだ。
今じゃ、コストコ側はマスターカードブランドの自社カードを既に作っており、アメックスとの独占提携の契約は2016年4月に終了している(でも、日本じゃこれまで通りアメックスは使える。ご心配なく)。
アメックス側にとっては、コストコとの独占提携解消は、収益上相当な痛手になることが予想されている。これがアメックスのPERが低く抑えられ、株価が低迷している原因なのだ。
コストコは今や日本でも大人気の巨大グローバル企業だ。その提携解消のダメージは計り知れないものがあるからな。
アメックス側としては、当然、コストコに代わる何かを模索しなければならない。しばらくは業績も株価も低迷するかもしれないな。
それでも、私はアメックス(AXP)を手放すつもりはない
しばらく低迷するだろうが、私はそれほど心配はしていない。
アメックスにはアメックスなりの強みがあるからだ。アメックスはカードローンにも進出している。これはVISAやMasterCardにはない特徴だ。ローン事業は、リーマンショックのような金融危機が起こればアキレス腱と化す恐れもあるが、そうでなければ有望な収益を生む事業となるだろう。
それに、クレジットカードの需要は今後ますます増えていくと思っている。周りを見渡しても、今や決済手段はクレカや電子マネーが主流となりつつあるのがわかるだろう? 今後は、現金主義なんて時代遅れの少数派になると考えているんだ。
そして、アメックス(AXP)は不人気なぶん、配当利率は高い。現在は2%くらい。これは、VISA(配当利率 0.68%)、MasterCardに(配当利率 0.74%)などよりも随分上だ。私のように配当重視の投資家にとっては、当然アメックス株のほうが魅力的に見える。
ちなみに、2016年 第3期決算発表はかなり良かった見たい。

2016年第3期のアナリスト予想の売上高は、$7,770(in millions)だったが、実際の売上高は$7,774とわずかに上回った。

EPSも、事前の予想は$0.96だったが、発表では$1.20と大幅に上回った。
他の各種ガイダンスや今後の見通しも、予想よりも上回っててみたい。
現在のAXPの株価は$62から$67と、8%以上も大幅に噴き上がっている。