僕の主力銘柄であるエクソンモービルが下落しています。
冴えない原油価格を見れば、エクソンの株価も近いうちに$80を割るだろうとの予感はありました。案の定、2017年2Qの決算をしくじりましたね。
一時3%近くも下落するという、市場からは手痛い仕打ちを受けています。
そんな中でも、僕はあえてエクソン株を$79.00で20株買い増しております。XOMの総保有数はめでたく420株となってしまいました。平均取得単価は$83.52。
ポートフォリオの約3割を占めるというね、投資先としては最大規模の銘柄です。
別に意地になってナンピン買いしてるわけではありません。年利3.89%という配当利回りが、僕にとってはすごく魅力的なんですよ。
しかし、ここまでくればもう、エクソンへの投資基準は配当利回りだけでいいのかなとも考えてしまいます。
今後の業績?予想? そんなもん読めませんって。
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決算をしくじったエクソンモービル
まずは、エクソンモービルの今回の決算を見ておきましょう。
売上高は、613.5億ドルというアナリスト予想(Analyst Estimate)に対し、結果は628.8億ドル。
EPSに関しては、83セントという同予想に対し、結果は78セント。
売上高は良かったものの、EPS(一株あたりの利益)でズッコケたわけです。これが、市場から嫌気された原因です。
アメリカ株と日本株の大きな違いは「決算」なんですよね。
日本株だと、決算を取りこぼしたとしても「なぁなぁ」で済ませることが多く、株価にも影響がない場合も多い。
が、米国株は違います。
決算結果はダイレクトに株価にあらわれます。決算とは、売上高・EPS・ガイダンス予想の3点セットで、これら3つ全てがアナリスト予想よりも上回れば、良い決算とみなされ株価は吹き上がります。逆に、1つでもミスれば悪い決算とみなされ株は容赦なく叩き売られます。
これが、日本とアメリカの株式市場の大きな違いです。
今回のエクソンはEPSがアナリスト予想に届きませんでした。だから、バカスカ売られたというわけです。
石油メジャーの業績など分析するのはもはや無意味だ
石油メジャーの業績は、結局のところ「原油」というコモディティ価格に左右されるんですよ。過去の業績をゴチャゴチャ分析したところで、あまり意味をなしません。
その原油価格にしても、読めるのか?といわれれば誰一人として読めませんよね。
原油価格が読めないのであれば、石油メジャーの今後の業績なんて読めはしません。
読めはしないけども、現状を把握するのは必要
原油価格の低迷してるので、当然ながらエクソンの業績もメタクソにやられてます。3年前の$100をつけてた頃とはまるで違います。
まずは、売上高・純利益・営業CFを見てみましょう。


2016年よりは回復してるとはいえ、復活へは程遠い水準です。

EPSも低迷してる上に、バラつきが酷いですね。いかにPERが役に立たないかがおわかりいただけるかと思います。
てな具合に、エクソンに関しては損益計算書を眺めたところで「原油価格がアレだから仕方ないよね」としか言いようがないわけです。
業績の回復には原油価格の上昇に期待するほかなく、それ以外に判断しようがありません。
エクソンの上流部門と下流部門
石油産業の稼ぎの源泉は、
上流部門(Upstream)
下流部門(Downstream)
化学製品部門(Chemical)
の3部構成となっております。
上流部門(Upstream)とは原油の探鉱・開発・生産を行う段階です。
石油メジャーの収益は、この上流部門からの収益が大部分を占めております。
そして、この段階の収益は原油価格にモロに左右されます。

上記のグラフはエクソンの上流部門の収益です。上流部門の収益が原油価格に左右されるのであれば、当然ながらエクソンの上流部門も惨憺たるものになっております。ここがエクソンの業績を下げる一番の根っこなわけですね。

上記のグラフはエクソンの下流部門の業績の推移です。
下流部門とは、原油の精製・輸送・販売にあたります。下流部門は原油価格に左右されにくいとされており、各石油メジャーは現在、稼げない上流部門よりも下流部門へパワーを分散しようとしています。つまり、上流部門の収益低下を下流部門でヘッジしようとしてるというわけですね。
2015年あたりから、徐々に下流部門へと収益の軸を移してきているのがおわかりいただけるかと。

そして、エクソンの化学製品部門(Chemical)の業績推移です。
この化学製品部門も下流部門と同じく原油価格に左右されにくいです。というかむしろ、原油価格という原材料費が安いぶん収益を上げやすいということでもあります。
ちなみに化学製品とは何かと言いますと、たとえば、服、スポーツシューズ、PCの部品、液体洗剤、プラスチック製品諸々、ボール、ペットボトルなどなど。つまり、僕らの身の回りのありとあらゆるものです。
石油という資源が僕らにとっていかに身近で重要かがおわかりいただけるかと思います。
話を戻しましょう。
上記のグラフを見れば、エクソンの化学製品部門はおおむね横ばい状態が続いてます。
個人的には、この化学製品部門にこそもっと力を入れたほうが良いのでは?とも考えますが、エクソンとしてはどうなんでしょうかね。
この辺りは調べきれていないので、もしわかれば追記したいと思います。
投資家はみな「自分の投資を正当化できる理由」を必要としている
というように、いつまでたっても石油セクターには春の訪れる兆しが見えません。そのせいか、ここ最近はエクソンへの投資をバカ呼ばわりする輩が増えてきましたね。
なぜ株価の冴えない時代遅れのクソ銘柄に投資するんだと。
アマゾンやフェイスブックのほうが明らかにパフォーマンス上だろと。
オマエ投資センスねーよな!と。
言わんとすることはわかりますけどね。
まぁ、エクソンモービル(XOM)に関しましては、投資スタンスが全く違うとでも言いましょうか、キャピタルゲイン狙いの彼らと配当狙いの僕とでは価値観というか意見が違うということですね。
要は、
テメーらに迷惑かけた覚えはない。
ほっといてくれや。
ということです。
僕にとってのエクソンへの投資は、やたら利回りの良い預金みたいなものなんですよ。4%近い利回りと連続増配歴34年という実績に魅力を感じるから、僕はエクソンに投資してるんです。
機関投資家などプロであれば、感情論を排して冷徹に売り買いできるのでしょうが、それができるのは圧倒的な資金力があってのことだと思います。
資金力と情報収集力の乏しい個人投資家には、プロと同じことはできません。だから、僕らはアレコレ理由をつけて自分の投資を正当化しようとするのです。
それに、プロが勝つとも限りませんからね。それが投資の面白いところでもあるのかなと。
最後に、エクソンモービルという企業を知りたい方には「石油の帝国」という本をオススメしています。
エクソンモービルのストイックなまでの社風・くぐり抜けた修羅場・歴代CEOの人となり、などが網羅されていますので、エクソンをもっと知りたいという方には必読の一冊であると確信しています。
ちょっと長いけどね。