『バイ&ホールド』とは、読んで字のごとく「買った銘柄を保有し続ける」投資法のことです。
成長する(と思われる)市場や銘柄に金を落とし、後はひたすら放置。「相場は敢えて気にしない」という究極にシンプルな投資法であります。なんなら気絶しててもOKと。
徐々に買い増しするも良し、定額を積み立てるも良し。とにかく目先の損得に惑わされず、ひたすら保有し続ける。
掟はただひとつ。「決して売らないこと」
この掟を頑なに守るだけで、未来の資産には「含み益」が十分にのっているだろう。めでたくも、あなたは労せずして念願の「お金持ち」になれるのだと。
本当かよ?
と疑いたくなる気持ちはわかりますが、今回はその「是非」を述べるつもりはありません。まぁダメ出しだけでは人間性を疑われかねないので、今回は、
どうせ「バイアンドホールド」やるなら、その戦略は如何にあるべきか?
ってなポジティブな内容を論じてみたいと思います。
バイアンドホールドは銘柄選びが肝要である
バイアンドホールド戦略が投資家さんの間で大人気であるのは、最高に楽な投資方法であるからです。なんせ、
頭使いませんからね。
ただ単に銘柄を愚直に買い増し、事後は保有するのみ。とくれば、そこには勉強やらインプットといった継続的な努力は必要ないわけで。
努力要らずな手法であるがゆえに、ズボラな大衆からはウケがいいのかな?と僕は考えます。
まぁそのハナシは今回はおいといて、
この「バイ&ホールド」で資産を増やすのであれば、当初の銘柄選択が非常に重要になってきますね。パフォーマンスの全てはここで決まりますよ。ここをミスれば、単なるナンピン買いに終始することにもなりかねない。
普通に考えればおわかりでしょうが、「バイ&ホールド」戦略をとる以上、騰がる銘柄を保有しなければ何の意味もないのであります。
騰がらない銘柄を保有し続けるのは、単なる経済的自殺行為。それ以外の何物でもありません。
んなこと言われるまでもないよね
と、ここまで読まれた方はお思いのことでしょうが、残念ながら、騰がらない銘柄を保有し続けている方は現実に多いんですよ。
ダウの100年チャートとかを引っ張り出し、「米株相場は長期的には右肩上がりなんだ!」とお決まりのセリフで含み損の正当化に意固地になる投資家はあまりに多い。
(今さら引き返せるか!こうなりゃ報われるまで永久保有よ!)ってな段階にまで至ることを、
アホールド
といいます。
「バイ&アホールド」戦略は「苦行」以外の何物でもなく、得られるものは思い出だけ。それ以外に身につくものは何一つありません。
その期間が長ければ長くなるほどに、「時間」と「お金」という貴重な資産を無駄にし続ける。身につくスキルは何一つない。
そうならないためにも、当初の銘柄選択が肝要になるわけです。
インデックス投資であれば、マクロ的に見て将来有望な国を選ばなければなりません。わざわざ衰退する国を「バイ&ホールド」するアホは、当ブログの読者にはいないと思いたい。
個別銘柄であれば、各種指標から持続的に成長できるポテンシャルのあるものを見分ける必要があります。こちらに関しては、なにぶん高度になりますので、多少の解説が必要になります。
具体的な選択例
まず、マクロ的に見て将来有望な国となれば「アメリカ」しか思い浮かばないのは僕だけじゃないはずです。
中国やインドも大国ではありますが、世界的なブランドを生み出すとなれば、アメリカの足元にも及ばない。EUも無視できない経済圏でありますが、イノベーションを起こせるか?となれば、これまたアメリカの足元にも及ばない。
ヒト・モノ・カネが世界から集まり破壊的なイノベーションで莫大な富を生み出しているのは、現時点ではアメリカ一国のみ。となればホールドするに妥当なのは、「アメリカを対象とする資産」しか考えられないわけです。
投資信託やETFを「バイ&ホールド」するのであれば、アメリカの成長全てをカバーできるインデックス銘柄が望ましいと考えます。大して儲かりはしないでしょうが、少なくとも損することはないでしょう。
一方で「セクター別ETF」なんかをガチホする方なんかもチラホラ見かけます。
僕ならやらんね
セクター別ETFは、「景気の循環」に応じて機関投資家による売買が起こるからです。ある時は買われ、ある時は投げ売られるとなれば当然、パフォーマンスにもモロ影響します。
いかなる局面でも力強く成長するセクターとなれば、推奨できる銘柄は自ずと限られてくるわけです。それ以外のセクター投資は、意固地にガチホしたところで「効率悪いよね」で終わることでしょう。
資本財セクターなどは景気拡大局面においては非常に頼もしいですが、景気が頭打ちとなれば真っ先に投げ売りの対象になりますからね。
景気が頭打ちになったとはいえ、それがすぐに消費者の財布に影響を及ぼすにはもう少しの時間差があり、そうした局面では、世界のマネーは、ウォルト・ディズニーなどが含まれる「プチ贅沢的なセクター」に一旦還流する傾向にあります。
景気の後退が明らかな局面になれば、お次は、生活必需品などの含まれるディフェンシブなセクターへと。
というように、世界(機関投資家)のマネーはひたすら循環しているのであります。それじゃあ、いくら「バイ&ホールド」と気張ったところで、次の循環がくるまで、うだつの上がらんまま塩漬け状態。
「精神安定」とやらのために「ディフェンシブ・セクター」や「高配当セクター」をガチホする方は多いのですが、これが下策中の下策であるのは前回も述べたとおりであります。
それやるくらいなら最初から「S &P500指数」でも買っとけと。そのほうが、よほど報われるでしょう。儲からんけどね。
個別株銘柄を選ぶ際の注意点
個別株をバイアンドホールドする場合は、「今後持続的に成長するであろう銘柄」でなくては意味がありません。
如何に高配当であれ、それだけではインデックスとに及ばない、というのは前回にも述べた通りであります。
配当が楽しみなのはわかりますよ。でもそこに株価の成長が伴わなければ、パフォーマンスはクソで終わります。インデックス指数に勝つなど到底不可能ですよ。
市場の暴落以上に暴落してる銘柄は論外
「割安だ」とか「バーゲン価格」だというのは、あなた方の勝手な思い込みであります。
株価が暴落しているということは、市場から「クソ」と判断されているからなのです。千載一遇のチャンスだなどと飛びついたところで、その多くの場合はそのまま低空飛行を続けるか、下手をすれば沈むかのどちらかです。
市場が暴落する中でも「御構いなしに力強く上昇している」銘柄を選びましょう。
それだけで上手くいくほど投資は単純ではありませんが、少なくとも、考えなしの「逆張り」や「バイ&アホールド」よりは報われる可能性が高いと思われます。
みなさん大好きな「PER」はシカトせよ
これ鉄則ね。PERを判断の頼みにするのは愚か者のすることです。
あと決算。好決算を繰り返している銘柄は、素直に『買い』ましょう。その場合、当然ながら株価も騰がっているでしょうが、そこはアニマルスピリットを奮い起こして買い向かうことです。
シロウトの逆張りほど効率の悪いものはありませんからね。
というように、どうせバイアンドホールドするなら、騰がる株を素直に買うべきなんであります。
(平均取得単価を下げられる)だとか、くだらんことは考えなくてよろしい。
「相場を知りたきゃ相場に耳を傾ける」こと。つまり「自分の悪い頭で判断しない」ということ。
鉄則というものがあるのだとすれば、僕がみなさんに贈るのはこの2つのみ。