先日(9/13〜9/16)のビットコイン相場は超大荒れでしたね。直近の最高値からわずか半月足らずで40%も下落とか意味不明でしょう。
特に、相場経験の浅い方にとっては生きた心地しなかったのではないでしょうか(仮想通貨は経験浅い奴ばっかりだと思うけど)。恐怖心に駆られて投売りした方も多いと思います。
かくいう僕も多少なりともビットコインに投資(2BTC程度)してるので、他人事ではありませんでした。あまりの値動きの荒さに、仕事なんてそっちのけでスマホ画面に釘付け状態。
少々売られ過ぎているようにも思えたので、0.3BTCほど買いましたが、ドン引きしてたのは皆さんと同じです。
現在でこそビットコインは値を戻し、相場は多少の落ち着きを取り戻してはいるものの、暗号通貨のボラティリティの高さというものを改めて痛感させられた次第です。
そもそもの話、2017.9.4に中国人民銀行が国内仮想通貨のICO(独自に仮想通貨を発行して資金を集める行為)を規制していたため、ビットコイン相場には以前から下落圧力がかかってはいたのですが、
本格的な大暴落の直接的原因を作ったのはこの方⤵︎
米銀最大手JPモルガン・チェースCEOのジェイミー・ダイモン氏です。彼の「ビットコイン・トレーダー=カス野郎」発言が、スカッドミサイルの如く相場に着弾したというわけです。
今回は、ビットコインはじめ仮想通貨の「将来性」と「付き合い方」というものを、ポジショントークを交えず公平に論じてみたいと思います。
ビットコインを詐欺だと言い切るジェイミー・ダイモン
チューリップ・バブル
オランダ黄金時代において、チューリップ球根の価格が異常に高騰し、突然に下降した期間を指す。
チューリップ・バブルのピーク時であった1637年には、1個当たり、熟練した職人の年収の10倍以上の価格で販売されるチューリップ球根も複数存在したという。
「チューリップ・バブル」という語は、今日では、資産価値がその内在価値を逸脱するような大規模なバブル経済を指してしばしば比喩的に用いられる。
「チューリップ・バブルより酷い」と言い切ったように、ジェイミー・ダイモン氏は現在のビットコイン相場を実態を伴わないバブルとみなしております。
9/12のCNBCでは、「ビットコインはピラミッド・スキーム(悪徳マルチ商法=ネズミ講)だ」と、バッサリ切り捨てました。
暗号通貨が信頼できる形で評価されることは決してないと、ビットコイン・バブルなどいずれ崩壊すると、それどころか10年後に見かけなくなっていても不思議ではないと、
とにかく、こちらのグウの音も出ないほどにビットコインをディスり倒しました。
「もし自分の会社(JPモルガン・チェース)で暗号通貨を取引している者を見つけたら、即刻解雇する。」
「就業規則違反というのもあるが、まぁそれ以前に、そんな間抜けがうちの会社にいること自体が危険だからな。」
と、まるで容赦がありません。
「今のところ、アメリカ政府は暗号通貨をあくまでめずらしいものとしか見ていないが、このままバブルが膨らめば、いずれかの時点でシャットアウトするだろう。」
と、ビットコインの将来性についても完全否定しています。
仮想通貨の将来性については以前から疑問視する声も少なくなかったのですが、なにぶん仮想通貨マンセーな声の方があまりに大きすぎて黙殺されてた感があります。が、あのジェイミー・ダイモンが公の場で発言したとなっては話が違う。
ダイモン氏は最高の経営手腕をもつ銀行家と言われております。
堅実な経営手腕をもって、ウォール街の2流銀行だったJPモルガンを米銀トップにまで引き上げ、あのリーマンショックの阿鼻叫喚地獄においてもJPモルガンを軽症ですませました。
現在では金融テクノロジーにも精通する金融界における最重要人物であり、その発言ともなれば世論に与えるインパクトはあまりに巨大だ。
そんな「英雄」からボロクソこき下ろされたとなれば、ビットコイン相場が暴落しないわけがありません。
9/12のダイモン氏の「ビットコイン=クソ」発言は、世界中のビットコイン関係者に恐怖心を与えるに十分でした。9/13〜チャートがぶっ壊れているのには、そういった背景があったわけです。
当然ながらビットコイン・ファンは黙ってない
ビットコインを保有せず無関係な人からすれば「ふーん」で終わる話ですが、
ビットコインの大量ホルダーやマイニング業者からすれば、いくらジェイミー・ダイモンだろうが、んなこと放言されちゃたまったものではありません。
当然ながら、凄まじい反発がありました。
元JPモルガン幹部のアレックス・グレヴィッチ氏が即座にクソリプを飛ばしています。
Jamie, you’re a great boss and the GOAT bank CEO. You’re not a trader or tech entrepreneur. Please, STFU about trading $BTC.
— Alex Gurevich (@agurevich23) 2017年9月12日
ジェイミー。確かにあなたは偉大なボスで、銀行業においては史上最高(GOAT:Greatest of All Time)の経営者だ。
でも、あなたはトレーダーではない。ハイテク企業家でもない。ビットコインのトレーディングに関しては、どうか口を閉じやがれ(STFU:Shut The Fuck Up)!
現在ビットコイン・マイニング事業を手掛けている、MacAfee創設者のジョン・マカフィー氏も、ダイモン氏の「ビットコイン=間抜けのやること」発言に反論しています。
「私はビットコインのマイナーだ。
ビットコインをマイニングするには、現在1コインあたり1,000ドル以上の費用がかかっているわけだが、米ドルは作るのにどれくらい費用がかかってるんだ?(タダ同然に刷りまくってるだけだろうが)
詐欺なのは一体どっちだ?」
そら、そうなりますわな。
「官は民よりも強い」ということを忘れてはいけない
要はポジショントークの違いなんですよね。
ダイモン氏など金融機関に身を置く立場、いわば政府筋に近い立場の人からすれば、仮想通貨は国家権力に左右されない民主的な通貨だとか、将来的には従来通貨に取って代わるだとか、そういった現在の盛り上がりが片腹痛くて仕方ないわけです。
「そんなものは国家が規制すれば終わりなんだよ。あくまでコントロールされる側だということを忘れるな。」
というのが本音ではないでしょうか。眠たいことぬかすなと。
一方で、仮想通貨の可能性を信じる人々からすれば、それを貶めるようなマネされると、当然ながらムカつきます。
自分の存在意義まで否定された気になり、防衛本能から強烈な拒絶反応がおこるわけです。
よりにもよってジェイミー・ダイモンのような英雄から詐欺扱いされると、なんか痛いところを突かれたようで胸糞悪くなるわけです。
ビットコインには素晴らしい可能性がある。何人たりともそれを潰す権利はないと。なにより、これから儲けようとしてるのに(値上がりしてるのに)、相場に水指してんじゃねーよ!と。
伴の私見
ジェイミー・ダイモン氏のような最重要人物の発言であれば、それはしかと受け止めねばならないと感じています。
忘れてはならないのが、官は常に民よりも強いということです。
ビットコインがいくら超民主的通貨だといっても、その自由は国家から規制を受けるだけで簡単に剥がれ落ちてしまうほどに儚いものなのです。ご自慢の「非中央集権性」なんてのは幻に過ぎない。
一つ僕が気がかりなのは、あの北朝鮮がビットコインのマイニング事業に乗り出しているということです。北朝鮮のような「ならずもの国家」に金が行きわたるようになればどうなるかは、今更説明するまでもありませんよね。
ビットコインがミサイルや核などの開発費に充てられるとなれば、当然ながら、世界各国はスクラム組んで仮想通貨の締め出しにかかるでしょう。
民主的で非中央集権的といえば聞こえはいいけど、そんなものはあくまで理想論なんですよ。自由にやれるってことは、放置すれば悪用する連中が必ず出てくるんです。
人類社会は性善説で成り立っていないのだから。
逆に、中国政府がここまで躍起になって規制してることで、仮想通貨の未来がいかに明るいかわかる。
— 穂北ヨシフミ (@hokitayoshifumi) 2017年9月18日
無条件にそう信じる?? それはちょっと、あまりに短絡的で無邪気すぎないかと。
わかってないようだから忠告するけど、
あんたらが思ってる以上に、
官は強いからね?
僕はビットコインの将来性に関してはみなさんほど楽観的ではありません。考えなしにのめり込めば、必ずや痛い目を見ることになると考えています。
かといって、今すぐ叩き売れとか極端なこと言ってるわけでもありません。ダイモン氏の予想とは裏腹に、ビットコイン・ユーザーは今後も増え続け、相場はさらに上昇するかもしれない。その可能性だって十分にあります。
何が言いたいのかというと、仮想通貨への投資は節度を守ることが何より重要だということです。
例えば僕であれば、「ビットコインは総資産の5%が上限」という鉄の掟を作っています。95%の投資先はあくまで伝統的な優良米国株であり、愚直な配当再投資戦略こそが決して変わらぬ僕のメイン手法であります。
賢明な皆様方には、間違っても、イケダハヤトさんに煽られて(欲に駆られて)身の丈以上の資金を仮想通貨につぎ込まないよう注意していただきたい。
ちなみに、そもそもビットコインとは何ぞや?なんて方にはこの本をおすすめします。
将来性という観点ではあまりに楽観的に書かれているため、途中「?」と感じる部分もあるでしょうが、ビットコインとは何なのかをサクッと理解するには最適な一冊です。