
こんにちわ、伴です。
貧困の悲惨さについて調べ物をしていたところ、私たちがよく知ってる古い歌をふと目にしてしまいました。
今回のマントラ.com、少し暗くて嫌な話になってます。
今回取り上げるのは日本の古い歌『童謡』です。
みなさんがご存知の童謡にはどんなものがありますか?
童謡って、子供の頃から慣れ親しんできた歌が多いですよね。(若い人は知らないかも)
『赤い靴』
『花いちもんめ』
『通りゃんせ』
『かごめかごめ』
『赤とんぼ』
これら有名どころを始め日本には様々な童謡が残っています。
実はこれらの童謡、どれ一つとっても、悲惨な意味が込められていたり、哀しい言い伝えを含んでいたりするんです。
不思議ですよね。
あの単調で優しい曲、子供の頃に学校や広場で遊んだ懐かしい思い出の曲のはずなのに。
でも逆に言えば、童謡だからこそ、込められた深い意味を隠すことができたのかもしれません。
優しい曲調とシンプルな歌詞だからこそ、誰からも気にとめられなかったのかも。
だから、子供に遊ばせられる歌として現在までずっと受け入れられてきたのかもしれません。
今回取り上げる童謡は『花いちもんめ』
子供の頃、この歌を歌いながら遊んだ記憶がある人は多いでしょう。
確か、子供同士2組に分かれてジャンケンをして、勝った組が相手の組の子供を引き入れる、ってな遊びだったと思います。
この歌か生まれた当時の時代背景は江戸時代から明治時代にかけて。
貧しい農村において頻繁に起こっていた、ある哀しい出来事を歌にしたものだと言われています。
♫勝って嬉しい 花いちもんめ♫
♫負けて悔しい 花いちもんめ♫
♫ふるさとまとめて 花いちもんめ♫
♫あの子が欲しい あの子じゃわからん♫
♫相談しよう そうしよう♫
※この歌は地方によって違いがありますので、私自身馴染みある歌詞を取り上げます。
「花いちもんめ」の「花」とは少女を指すと言われています。
そして「いちもんめ」とは「一匁」
お金を指しています。
勝って嬉しい 花いちもんめ
負けて悔しい 花いちもんめ
とは分かり易く説明すれば、
少女をこの金額で買えた。
お得な買い物が出来て嬉しい。
娘をこんな金額で売らざるを得なかった。
悔しいことだ。
こんな状況を言い表した歌詞。
つまり、人身売買を歌った童謡なんです。
続く歌詞
ふるさとまとめて 花いちもんめ
あの子が欲しい あの子じゃわからん
相談しよう そうしよう
表現が直接的なので、想像に難くないですよね。
この歌が生まれた当時の日本人は、我が子を売らなければならないほど貧困に喘いでいました。
そんな明日食う飯にも困る状況では、「口べらし」として我が子でさえも手放さざるを得ない状況だったのかもしれません。
売りに出されるのは、決まって娘だったそうです。
当然です。
当時「女衒(ぜげん)」と呼ばれたブローカーが貧困家族の娘を買い漁る理由は、娘を女郎に売り飛ばすため。
今現在の私たち日本人の価値観からいえば、もちろん、こんなことは鬼畜にもとる行為であり、許されるものではありません。
しかし、明日食う飯にも困る状況、生きるか死ぬかの瀬戸際を生きなければならないほどの貧困下での状況、今の私たちには理解できないのも事実です。
娘を売れと、ブローカーからまとまった金を見せつけられるが罪悪感に苛まれる。
しかしそのブローカーは、娘は女郎屋に入ることになるが、衣食住は保証するという。
あなた方には金が入り、娘も飢えることはない。
明日食う飯のあてもなく絶望しかない家族にとっては選択の余地などなかったのかもしれません。
これまで大切に育てた娘。
こうなれば、せめて少しでも多い金額に代えてやるのが、娘にとっての罪滅ぼし。
現在の私たちの価値観では、安易に批判することはできないでしょう。
私たち日本人は大きな勘違いをしています。
日本人はこれまでずっと、日本は世界標準でみても豊かな国だったと思い込んでいます。
当時の絶対貧困を経験した人もいなくなり、頭で想像できても、体で実感することはできないからです。
たとえ、貧困に喘いでいた時代を生き抜いた人が生きているとしても、その人も半世紀近く続いている豊かさを享受しながら老衰しており、当時のことを頭では覚えていても実感としては忘れているかもしれません。
日本人が豊かになれたのは、太平洋戦争後の高度成長期以降のみであり、それまでは他のアジア諸国と大差のない貧困に喘いでいました。
『童謡』とは、当時の貧困がいかに悲惨な状況であったかを伝える貴重な資料だと思います。
日本経済はかつてバブルと呼ばれた時代に世界の頂点を取りました。
しかし、それから失われた20年が既に経過し、失われた30年が来ようとしています。
「失われた」というのは「空白」という意味ではありません。
バブル崩壊当時の豊かさを現状維持してきたという意味ではありません。
「失われた」とは私たち国民の所得が失われた、という意味です。
つまり、再び貧困へと舞い戻っている。時計の針が逆に回るように。
さらに悪いことに、人身売買は今やグローバル規模で起こっている。
『童謡』から汲み取れる哀しい出来事が、再び私たち日本人の身に降りかからないことを何よりも願います。
全ての不幸や犯罪は、貧困を原因として起こっています。
私が貧困を憎み、1人でも多くの人を貧困から救わなければならないと思う理由がここにあります。