とあるカウンセラーさんを1週間ほど経営支援してたのだけど、
残念ながら、
翌週には飛んでたという話。
支援内容ってのは、
・ウェブ屋を介してのHP作成
・チラシ作成とその配布計画
・(必要があれば)営業代行
といった、まぁ基本的な販促活動。
すり合わせもマメにやってて、さあこれからね!って時に音信不通という。心配なので、借店舗に2度行ってみたがもぬけの殻。
ちなみに料金システムは後払い。代金もらい損ねた。
でもまぁ…個人さん相手だと、この手のケースはたまにある。
投げ出すタイプとは
いうまでもないことだが、取引が成立してる以上、相手に一言もなく逃げるのはよくない。
(やっぱり無理だ…)
事業を経営するとなれば、心が折れることもあるだろうが、
自分から風呂敷を広げたのであれば、せめてね、逃げる前に一言、取引相手に伝えるべきだろう。
とはいえ、現状上手くいってない彼の経営が、いくら販促かましたところで、今後劇的に変わらないであろうことは最初からわかっていた。
・投資資金が少なく、部屋も素人くさい
・ターゲット層と商圏が値段的に合っていない
・競合分析が皆無(というか興味なし)
・「スピリチュアルを絡めたカウンセリング」→商品がよくわからない
・立地をテキトーに選んでる
これが難しいのは、誰でも秒で気づくはず。
だから事前に「本当にビジネスでやるつもりですか?」「並々ならぬ努力と時間が必要ですよ?」と何度も意思確認した。その上で請け負ったわけで。
一番引っかかったのは、そうした環境的な要素よりも、むしろ彼の「人間的な面」にある。
カウンセラーとして必要な経験が、彼にはすっぽり抜けている。
カウンセラー業の資質とは
人となりが悪いわけじゃない。
むしろ彼はカウンセラーらしく物腰柔らか。そして誰に対しても優しい。ボンボン臭いけど、まぁ「良い奴」である。
スピリチュアル方面のことは僕は知らないが、問題に感じたのは、カウンセラー業やるにあたっての彼の動機だ。
悩める人を1人でも多く救いたい!
と高尚な志だが、純粋さと憧れだけでやっていけるほど、カウンセラーの起業は甘くない。
カウンセラーの対象顧客は「悩み」「苦しみ」を抱える人のはず。暇つぶしや気まぐれでカウンセリング来る人なんていやしない。
今がどうしようもなく辛い。
どうしたらいいかわからない。
打ち明ける相手もいない。
辛い気持ちを自分で消化できないから、人はカウンセリングに駆け込み、安くはない代金を支払うのである。
それで救われたと感じるから、「この人なら、自分をなんとかしてくれるかもしれない」と感じてもらえたから、室の評判が上がり、リピートも増えるという仕組み。
つまり、カウンセラー業は、悩める顧客心理にどこまで寄り添えるかがキモということだ。
上っ面のスキルや会話テクニックだけでは、相談者から信用されないし、また来たいとも思われない。
自分自身がどん底に落ちて這い上がる経験を踏まなきゃ、本物のカウンセラーにはなれない
彼の人間力では顧客心理に寄り添うことはできない。これが、彼がカウンセラーとして上手くいかない一番の理由だ。
現に、僕が入る以前から経営は上手くいってなかった。
僕からみて彼の人生は、これまで比較的順風満帆のように思えた。悩んだ経験や苦しんだ経験が圧倒的に不足している。
もちろん彼からすればこれまで十分苦労したつもりだし、悩んだ経験などもいろいろ聞かされた。
でも結局は、そのどれもが途中で投げ出したり、どうしようもない時は親親戚に助けてもらっている。
そんなものは苦労とはいわない。
どん底のどん底に叩き落とされ、そこから這い上がるべく、死に物狂いで手探りしながらもがき苦しみ、
死にたくなる気持ちを抑えながら粘り強く継続し、やっとこさ一条の光明を見つけ出す。
そこからさらに努力を重ねて、なんとか這い上がる。
辛いことを自力で乗り越えた経験があってはじめて、人は他人の気持ちに寄り添えるようになる。
経験があるからこそ、言葉の一つ一つに重みができる。その言葉に他人は素直に耳を傾けるのである。
今回廃業したことに対し、彼がどんな気持ちでいるかはわからないけど、
もし今挫折感や敗北感に苛まれているのであれば、その経験を今後の成功に活かしてもらいたいものだ。時間という天才的マジシャンが、きっと全てを解決してくれる。
とはいえ単に海外旅行行ってて、いつのまにか再開してた、みたいなオチかもしれないけど。それはわからない。