飲食業はあらゆる業種の中でも参入障壁が低く、比較的簡単にはじめられるビジネスだ。
店を構えるにあたっては、まず開業資金として、
・物件取得(保証金や仲介手数料)・・・約500万
・厨房機器代・販促費用・・・・・・・・約300万
くらいはかかるのだろうか。
自腹で出すもよし・借りるもよし。とりあえず1千万程度の資金があれば店は構えられる。経験がゼロでも体裁は整えることができる。
サラリーマンが定年退職後に始めるのもうなづける話だ。
極めて参入しやすい業種なわけだが、そのぶん競合は多く、常にレッドオーシャンに晒されるのは間違いない。
とくに人通りの多い場所に店を構えるとなると周囲は競合他店だらけ。
いくら人通りが多いとはいえ、競合が多ければ(限られた)パイの奪い合いに陥りやすく固定費もかさむわで、結果、思うように利益が出せない、てのはよくある話だ。
かといって競合のいない商圏を選べば、そもそも客がいないという。
パクられやすいのも飲食店経営を難しくする要因の一つだ。他店よりもどんなに良いサービスを開発しても、すぐに近隣の他店がマネしてくる。
客を奪い奪われた結果、売上が損益分岐点を下回り、赤字に陥り店終いする、というのがよくあるストーリーだ。
飲食店の廃業率は約20%
この水準は他業種よりも頭一つ抜けている。極めて高い水準だ。
始めやすいけど失敗しやすい
これが飲食店経営の現実だ。間違っても、退職金をぶち込んでやるような商売じゃあない。
なかなかに厳しい業界だが、生き残りの突破口がないわけではない。つぶれる店も多いいが、競合をはねのけ売上を確保し利益を出す店は山ほどある。
ということで今回、僕が実際にやって成果を上げている手法を述べてみたい。
飲食店集客のキモは認知度
生きてれば腹が減る。腹が減ればメシを食う。
どんなケチな人間でも、弁当持参してなければ、金払ってでも何かを食べる。
牛丼だけじゃなく、たまにはちゃんとしたランチが食べたくなる。仕事帰りには飲み食いしたくもなるだろう。
消費税は上がってしまったが、「腹を満たしたい」「酔っ払いたい」との根源的なる欲求の前では、2%増などいとも簡単に吹き飛ぶのが「人」ではなかろうか。
人が人である限り、飲食店の需要は有り続ける。
ここで重要なのが「認知度」だ。
人の購買行動の基本として、まずは「知っている店」に足を運ぼうとする。「知っている店」でモノを買おうとする。
店舗型ビジネスにおいては、「認知度=人に知ってもらう」のは極めて重要である。
周囲が競合他店で溢れかえっているんであれば、他店よりも認知を高めることに、集客の突破口がある。
一番商品とお得感
「認知度を高める」のが商売におけるキモだと述べたが、それは客から支持される商品があってのこと。
「味がイマイチ」「ボリュームが少ない」「接客がイマイチ」では認知もへったくれもないだろう。
客に来てもらうには、そこそこのサービスレベルが担保されているのは当然のハナシである。
次に必要なのが「一番商品」だ。そこそこの商品ラインナップの中から、店一番の「ウリ」をつくり上げる。
自信をもって来店客におすすめできるモノが必要だ。それは「味」であったり「お得感」であったりと様々だろう。
常連客に気づかされることもある。こちらが「一番」と押すものと「お客が実際に求めているもの」は、違っている場合はよくあることだから。
その「一番商品」こそが、客が来店する理由になる。
理由がなければ、客はまず行かない。何気なしにふらっと来てくれて買ってくれるなんてことは無い。
お客が足を運ぶ理由が必要
法人営業に突破口がある
「認知度を高める」に話に戻そう。
結果から言うが、売上UPに即効性のある集客方法は「法人営業」だと思っている。
とくに飲食店においては、「法人営業」のもたらす効果は高く即効性がある。
2019年8月、僕は京都のとある居酒屋の集客にあたっていた。「法人営業」だ。
「法人営業」を2日実施しただけで、その店の売上は80万円UPした。この反響率に驚いたのは僕自身だった。
・別に不味くはない
・接客にも気を配っている
・値付けも適正
・顧客満足度はそこそこある
にもかかわらず集客がままならないのは、単に「知られていない」可能性が高い。オーナーに力がないわけではない。
繰り返すが、客はまず足を運ぶのは「知っている店」である。
競合他店がひしめく中、敢えて知らない店に行く人間はあまりいない。いるにはいるが、それは少数派だ。
であれば話は簡単だ。
知ってもらえばいい
知ってもらうにはいろいろ方法があるが、飲食店集客で手っ取り早く効果を出せるのは「法人営業」だ。
チラシ配りが悪いとはいわないが、普通に捨てられるのがオチである。
「ぐるなび」や「ホットペッパー」もいいが、他店の情報も一緒に掲載されてる以上、差別化と言う面では厳しいと感じている。
一番商品を相手にしっかり伝えることで、チラシは生きてくる
「法人営業」と聞けば難しく・堅苦しく感じる人もいるかもしれないが、飲食店集客における「法人営業」は呆れるほどライトな営業だ。
店の場所・商品の良さ・お得感さえ伝わればそれでいい。サインや印鑑は一切必要ない。
わざわざ決済権者まで取り次いでもらう必要もなく、総務や受付のお姉さんにお伝えできれば終了だ。相手が誰であれ、お話ができればそれでいい。
「あなたが店に来る理由」をしっかり口頭でお伝えできれば、チラシは見てもらえる。少なくとも、ハナ紙にされることはなくなる。
魅力が伝われば、あとは部署の人たちにもチラシを渡してくれる。「こんな店あるみたいだけど、今週どう?」みたいな流れが出来上がるわけだ。
対象地域を絞る
飲食店こそ「法人営業」が効果的であるのは疑いないが、闇雲に企業訪問しても効果は薄いわけで。
効果的に営業するには、まずは対象地域(=商圏)を明確にする必要がある。
たとえば最寄駅があさっての方向にある企業に、居酒屋の営業をかけたところで、なかなか来てくれない。

ヘタクソな絵で申し訳ないが、イメージとしてはこんな感じ。掴んでもらえるだろうか?
営業をかけるのであれば、最寄駅が同一の地域に絞らなければならない。
離れた地域への営業も決して無駄ではないが、第一優先は自分の商圏内である。
最後に
飲食店の法人営業を詳しく知るに、オススメの本はこれしかない。
・一番商品の設定
・チラシ作成のポイント
・商圏の設定
・現場での営業トーク
と事細かく、わかりやすく解説されている。ちなみにこの著者、法人営業により月間200万売上UPしている飲食集客のプロだ。
飲食経営は安直な商売だとみなすは人もいるが、参入障壁が低いからこそ競合が多く、競合が多いからこそ難しい側面もあると思っている。
安直な商売だとは思わない。
国民の可処分所得は年々下がり続け、その上増税と、逆風が吹いている状態で大変だと思うが、飲食店の皆様には諦めずに頑張ってほしいと思う。