今や「成果主義」が当たり前の日本社会。
官公庁においても、やたら「成果主義」が叫ばれ始めたのは10年ほど前からだ。
事あるごとに、「結果を出せ!」と舌をまくしたてる上級幹部にはウンザリさせられたものだが、今となっては懐かしい思い出である。
公務員の業務を一言で言い表すと、「定められた解答に、どこまで正確に辿り着けるか」。
誰がやろうが結果は大して変わらない。差があるとすれば、ミスが多いか少ないかで、そこには「成果」もクソもない。
サバンナで生きる(才覚を頼りに完全自己責任で生きる)タイプの人には、こうした仕事は全然物足りないと思う。というか苦痛以外の何物でもないだろう。
が、檻の中での安心・安全を重視する人には、これほど最適な仕事はない。収入も平均以上だ。
ディスってるわけじゃない。
公務員は成果主義とは程遠い職業だが、社会の根幹を担う重要な仕事なのは間違いない。
それに仕事内容も結構ハードだということも、僕はよく知っている。
…
その後、僕は公務員を去り企業に入ることで、本当の意味での「成果主義」をこの身に浴びてるわけだけども、
最近わかったことは、日本流の「成果主義」は人をおかしくするということ。
成果だけに目を向けるから、人は道から逸れてしまうのである。
重視すべきは、成果よりも「プロセス」だ。
成果主義がダメな理由
基本的に、人がアピールするのは「成果」の部分だけである。
その裏側にある「プロセス」に関しては、語られることはほとんどない。
正直に語れば、みんな引いてしまうからだ。引かれちゃうと商売にならない。
ネットビジネスなんかは特に顕著で、ネット上には稼いだ金額をアピールしまくる輩で溢れている。
それに釣られた連中に対し、(オレ(私)のように稼ぎたければ、この猿でもできる「ノウハウ」を買ってくれ)というのが最終的なクロージングなわけだが、
そのとおり忠実にやっても、結果、成果ゼロなんて人がほとんどだろう。
リアルにおいてもそうで、
たとえば会社でトップセールスマンから「営業手法」を聞き出したとしよう。
その手法は素晴らしいものだろうが、それをどんなに忠実に真似てみても、同じ成果は出せない。
成功した起業家のビジネスモデルを聞き出したとしよう。
それを再現しようと忠実に真似てはみたものの、その結果は、集客ゼロ。
なぜか?
プロセスを無視しているからだ。
まず、物事や事象には「原因」がある、ということを念頭においてほしい。
成果が得られたのは、そこに至るまでの過程が正しかったから。いくらやっても成果が出ないのは、過程に問題があるからだ。
(そんなこと、言われなくてもわかっとるわ)と言いたいのはわかるが、
じゃあ、その「過程」ってのは一体なんぞや?と、本気で考えてみたことはあるだろうか?
プロセス主義に回帰すべき理由
結果や成果にばかり目を向けるから、人はおかしなことになるんである。
そもそも、「結果」なんてものは単なるアウトプットである。ましてや、自分でコントロールできるような代物じゃない。
僕らがコントロールできるのは「過程(プロセス)」だけだ。
たとえば「給与以外に月収20万稼げます」とかの釣り文句をよく目にすると思う。
ゼロからお金を生み出すのは凄まじく大変なことで、給料以外に自力で20万稼いだとなれば、それはもう偉業のレベルだ。
ここで目を向けなければならないのは、「20万円稼ぎました」という結果ではなく、稼げた裏側にある「プロセス」。
言っておくが、「ノウハウ」はプロセスじゃない。
プロセスとは、成果に至るまでの裏側にある「取り組み」のことである。
ちなみに、楽しくラクに稼げます!なんて取り組みはこの世のどこにも無い、ということは肝に命じておこう。
ネット上ではよく見かけるが、あれは強欲な情報弱者に「幻」を売りつけてるんであり、それ買ってやったとて稼げはしない。
成功の裏側には、その人にしかわからない様々な失敗、悩み・苦しみ・葛藤・不安を交えた膨大な「取り組み」があるものである。
無い人もたまにいるが、それは極一部で、普通はある。
しんどいながらもそれを乗り越え、アイデアを試し、フィードバックを得て、改善を繰り返し続けた果てに、ようやく、自分に合った手法を見出せる。
そうした「頑張り」こそが「プロセス」だ。
成功者と同等の「成果」を目指すなら、「結果」はひとまず忘れることだ。
その裏側にある「プロセス」にこそ、成功に至る本質があり、僕らが目を向けるべきは、その本質だ。
成功の裏でどれだけ頑張ったか。そこに目を向ければ、成果を出すのが如何に容易でないかが実感できるだろう。
そこすっ飛ばして成果=華やかな部分だけを見ても、同じ成果をあげられるわけがない。
要は、頑張る方向間違えるなってこと。
記事内容とは異なるが、中野先生のこの本⤵︎はめちゃくちゃ面白い。
そしていろんな意味で参考になるので、興味のある方は読んでほしい。
努力不要論――脳科学が解く! 「がんばってるのに報われない」と思ったら読む本
「サイコパス」といい、中野先生の文章はなんでこうも読みやすいのか。
しかも内容も目からウロコ。